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フリーランスに『新聞購読』は必要か?賛成派の活用術と、元新聞記者が語る『不要論』

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デキるビジネスマンは新聞を読む─

そんなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。しかし、現在では新聞の販売部数も低下し、例のごとく『若者の新聞離れ』なんて現象も叫ばれています。ここまでネットが普及し、世界中の情報に一瞬でアクセスできる時代に、紙の新聞を読む必要やメリットはあるのでしょうか?

今回は、紙の新聞を上手に活用している先輩フリーランスの『新聞術』をご紹介。そして反対派の意見として、20年以上のキャリアを持つ元新聞記者のフリーライターが『もう新聞は要らない!』と主張する根拠もご紹介します。


むしろネット活用のために新聞を読む

現代はインターネットがとても発達しています。どんな話題であっても、検索さえすれば膨大な情報にアクセスできます。そんな時代に、「新聞なんて必要ないのではないか?」という意見が出てくるのも不思議ではありません。

しかし私は、むしろそのような時代だからこそ、逆説的に新聞の価値が高まるのではないかと考えています。

ネットの情報量は膨大で、ほぼ無限に近い情報が溢れています。しかし、私たち人間の持つ人生の時間は有限です。いくらネット上に膨大な量の情報があったとしても、それをくまなく探している時間などありません。しかも、ネット上の情報には、もちろん信頼できて役に立つ情報もたくさんありますが、その一方で事実無根のものや、何の役にも立たない無益な情報も非常に多く、ともするとそうした情報に無駄な時間やエネルギーを費やしてしまいかねません。ですから、ネットを上手に活用するためには、使う側もある程度指針を持っている必要があると思います。

その指針の一つになり得るのが新聞だと私は思います。新聞は様々な話題がコンパクトにまとめてあり、また、記事も職業としての記者が書いたものですから、すべて正しいわけではないにせよ、素人の書いたものよりは信憑性が高いといえます。ですから、まず新聞などを読んである程度の予備知識を得てからネットに入っていくと、ネット上にある無駄な情報に惑わされにくくなり、より効率よくネットを活用しやすいわけです。

新聞サクっと活用術

私は、現在は朝刊の一紙を欠かさず読んでいます。読み方としては、自分の興味のある記事や、仕事で使えそうな記事についてはじっくり読みます。その他の記事は見出しを読むだけで中身は読みません。そして、読んだ記事の中でもっと詳細を知りたいと思った情報についてはネットや本などで掘り下げていきます。このようなやり方をすることで、膨大なネットの情報をより効率よく活用したいと考えています。

また、個人的に好きなのは毎週日曜日に掲載される書評欄です。それまで知らなかった面白そうな本が紹介されていることが時々あります。私は特に買いたい本があるわけでもなく書店に行って、ぶらぶら歩いているときに、それまで知らなかったとても面白い本と偶然出会うという経験を何度かしてきましたが、似たような経験が新聞でもできるかもしれないと思っています。

私はこのようなやり方で新聞を読んでいますが、新聞を読むことを苦痛に感じたことは一度もありません。自分の関心のある記事しか読んでいないのですから、当然といえば当然ですね。それが一番良い新聞の読み方だと私は思っています。

Hiroさん (28歳、男性)


紙からデジタル、そしてまた紙へ

20144月~20152月、私は初めて毎朝配達される新聞をやめてみました。

電車に乗るたびに、同じ車両に新聞や本を読む人がいないことに気づいてから1年以上が過ぎていました。仕事柄新しいことにチャレンジしないのもどうかと思い、まずは1年間、紙媒体の新聞を断ちデジタル版で新聞を読もうと決意しました。たまたまいつも読んでいる新聞社のセールスの電話を受け、デジタル版でも新聞ビューアーを使えば実際の新聞と同じように読めるようになった、検索機能も非常に優れている、天声人語も英語で読める、スクラップ機能もある、など興味をそそられるようなことが満載でした。

結果的には、デジタルの新聞だと読む気にならず、自分の考える力や書く力が否応なく劣化してしまったことを認めざるを得ない状態になり、20153月までの期限を1ヵ月繰り上げて、また宅配アナログ新聞生活を再開させて現在に至ります。デジタル版も付加しているところが多少進歩です。

紙媒体の新聞の活用法

今、ネットや雑誌で十分と言える能力のある人は増えていると思います。私は新聞を読みながら切り抜きをするのが二十代の頃からの習慣で、それがないと落ち着かないようです。おそらく文章に線を引っ張りながら読むような感覚です。

私の新聞生活は以下の流れです。

  1. 新聞を開く
  2. 次々と見出しを眺め、目に止まったものをざっと読む(読まない紙面も決まっている)
  3. 仕事で必要な記事、関心のある記事、時代を読み解くための記事、勉強のための記事を切り抜く(これは雑誌やフリーペーパーも同じ)
  4. 日付が無い情報には必ず日付を書き入れる
  5. 当日移動中に読めそうなときは持って出る、分野ごとに箱に入れておく
  6. 使う機会があったときに、溜めた情報のストックを見直す、なるべく捨てる
  7. 移動中は、スマホでデジタル版を読むことも増え、スクラップ機能を利用することも
  8. なるべくその日のうちに新聞を片づける

7と8は、最近ようやく加わりました。6は、昔も今もなかなかうまくいっていません。

なぜ紙媒体としての新聞が必要なのか

印刷された新聞を開くと、全体を見渡しながら今の情勢が掴めます。検索して必要な情報に簡単にアクセスできる現代は、50代以上の人には涙が出るほどすごいことなのですが、人が検索や情報通信会社のフィルタを通じて与えられた情報で十分と思ってしまうと、おそらく考える力、深堀りする能力、オリジナリティは衰えていきます。新聞がすべてを解決するわけではありませんが、あらゆる角度からの比較的コンパクトで良質な情報を届けてくれる新聞は、『必要な「無駄」』を運んできてくれる貴重な存在です。

目に止まってたまたま読んでいた記事のことが、仕事の雑談で役に立ったことは数知れず。また、物事の事象の背景や、別な見方などを知りたい時には、新聞が一番わかりやすいと思います。紙の新聞の魅力は語りつくせませんが、むやみに勧める時代でもなさそうですね。

─Mieさん(53歳・女性)

ご紹介したお二人の意見はどちらも『紙の新聞は必要』で、『興味のある記事だけをつまむように読無』というものでしたね。
新聞を毎日読破する時間とエネルギーはさすがにありませんが、この方法なら自分も新聞を取ってみようかなという気になります。

一方、元新聞記者のsa-photoさんは『新聞は必要ない』とう結論に至り、今ではきっぱり購読を辞められたそうです。なぜでしょうか。

20年の記者歴を持つ私が断言します。フリーライターに新聞は必要ありません!

はっきりいって新聞は、今のフリーライター業に必要ありません。
カフェでノマドワーカーらしき人をよく見てください。
パソコンや携帯端末と新聞をセットで開いている人を見かけますか。
せいぜい、仕事とは全く関係ないスポーツ紙ぐらいなものです。
それも、店内に置いてあるヨレヨレのやつです。

私は全国紙とスポーツ紙で20年以上の記者歴があります。
20世紀までは新聞の需要もそこそこあり、21世紀に入ると「斜陽産業」の仲間入りを果たしました。
理由はご承知の通り、携帯端末の進化による情報の伝達の変化です。
情報の収集は、新聞を「読む」→ネットなどで「見る」に変化しました。

新聞は新聞社のもので、ネット媒体はみんなのもの

私のように元新聞記者のフリーライターは、数え切れないほどいます。
仲のよい数人の記者仲間をピックアップして特徴をまとめると、おもしろいことに気づきました。
以下のようになります(あくまで自己申告制)。

名前 年齢 新聞購読      経歴             収入(前職比)

Aさん(43歳) なし   元全国紙記者(外信部、海外支局)        90%
Bさん(41歳) なし   元スポーツ紙記者(Jリーグ、五輪担当)     150%
Cさん(53歳) 3紙購読 元全国紙記者(社会部、支局、社会部デスク)     50%
Dさん(47歳) 4紙購読 元通信社記者(支局、運動部、運動部デスク)    40%
私  (48歳) なし   元全国紙(海外2支局など)とスポーツ紙デスク 110%

新聞を定期購読していないフリーランスの方が、収入が良いことが分かります。
さらに突っ込むと、Aさん、Bさん、私の3人に共通しているのは、収入の80%以上がWeb関連です。
Cさん、Dさんは雑誌などの紙媒体が中心で、何度聞いても覚えられない特殊な団体の会報や機関紙に書いています。

新聞は記事のまとめ方、原稿の流れや見出しを勉強するには最高の教科書です。
勉強の結果をどこで発揮したらいいのでしょうか。
それは、新聞、雑誌、○○団体の会報の紙媒体ですが、絶対数や仕事の取っかかりも少なく、低報酬が多いです。

Webは不特定多数の閲覧者がいてニーズがあり、常に更新するスピードの速さがあります。
検索上位にくるために、キーワードを盛り込み、検索のアルゴリズムと戦っております。
新聞記事特有の主語を省略したり、決論を先に明記する書き方など多くの「掟(おきて)」が、Web上では戦略として通じないこともあります。
Web関連の仕事を制するのは、Webサイドを見て勉強するしかないのです。
この世界に新聞が入り込む余地はありません。

新聞は新聞社のもので、Webサイトはみんなのもの-。
こんな理由もあって、5紙を定期購読していましたが、私は4年前に全てやめました。

-sa-photoさん(48歳・男性)


以上、『賛成派』と『反対派』の意見をご紹介いたしました。
フリーランスで働くなら、様々な知識や雑談ネタがあった方が断然有利に仕事を進められます。そんな話題収集をしたい際、いろいろな情報をわかりやすくまとめた状態で毎朝届く新聞は便利に活用したいところでしょう。
一方、Webだって上手に活用すれば幅広い情報をスマートに集めることができます。最近では独自のアルゴリズムに基づいて自分の趣味嗜好や傾向にあったニュースを届けてくれるスマホアプリもすっかりお馴染みになりました。どんな媒体であっても、個人の向き・不向きや、好き・嫌いがあるはず。新聞購読に興味が沸いたら、まずはコンビニなどで1部だけ手にとってみても良いのではないでしょうか。