個人事業主が知っておきたい、税理士が教える賢い節税方法シリーズ 〜消費税篇〜

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今回から始まりました、「税理士が教える賢い節税の方法シリーズ 」 現役の税理士が個人、小規模事業主に役立つ節税の知識を複数回に分けてご紹介してくれます。気になる節税の知識をぜひ身につけて下さい!

消費税の仕組みから見える節税

事業者でなくとも、最も興味の高い税金は消費税ではないでしょうか。
日本の消費税は諸外国で導入されている消費税とは少し違う仕組みになっています。日本の事業者は、個人事業であれ法人事業であれ、帳簿を備えることが当たり前になっています。

日本では当たり前でも外国に出ればそうでもないのが、この帳簿の存在です。日本は、この帳簿を前提に消費税額が計算される仕組みを導入している点が、諸外国とは異なります。しかし、この帳簿方式を採用することで不合理なことが生じています。

消費税を免税できる仕組み

現在、小規模な事業者については、消費税の免税が認められています。
免税が認められる条件は、いくつかありますがその一つとして、

前々期の売上高が年1,000万円以下の場合

があります。

年1,000万円を超える場合に、課税する義務が発生します。また、注意すべき点は、ある年に一度1,000万円を超えても、次の年に売上1,000万円に満たない場合には、再び免税事業者に戻ることができます。その際は「納税義務者でなくなった旨の届出手続」を行いましょう。

国税庁|消費税の納税義務者でなくなった旨の届出手続

消費税を節税できる仕組み

課税事業主には、条件によって消費税の節税の制度が認められています。その一つが簡易課税制度というものです。簡易課税制度によって節税を行うには原則となっている課税制度と簡易課税制度を知る必要があります。

簡易課税制度が利用できる条件を端的に表現すると、

前々期の売上高が年5,000万円以下の場合

です。

原則となっている課税制度と簡易課税制度

    • 原則的な課税

消費税の納付税額 = 課税売上に係る消費税額 - 課税仕入れ等に係る消費税額

国税庁|納付税額の計算のしかた

    • 簡易課税制度

簡易課税制度においては、事業形態により、第一種から第五種までの5つの事業に区分し、それぞれの事業の課税売上高に対し、第一種事業については90%、第二種事業については80%、第三種事業については70%、第四種事業については60%、第五種事業については50%のみなし仕入率を適用して仕入控除税額を計算します。
(注)平成27年4月1日以後より一部変更となります。

国税庁|簡易課税制度の事業区分

原則的な納税方式か簡易課税制度かを選ぶことができる仕組みになっているため、有利な方式を事業者が選択できることになります。事業者にとって有利な方式を採用すれば、本来の計算では払うべき消費税を払わずに済みます。

賢い節税事例

消費税の世界では、小規模か否かは、基本的には売上で判断されます。卸売業や小売業は売上高が大きくなりやすい業種と言えますし、原価があまりかからないサービス業は売上高が小さくなりやすい業種と言えます。

卸売業とサービス業を経営される方が、業種ごとに別々の会社とすることで、サービス業の会社については簡易課税制度が適用できるようになった事例もあります。

まとめ

利益が同じでも、売上高によって規模の大小が判断されるのが消費税の基本的な仕組みです。さらには前々期の実績をベースに判断される要素があることも見逃せません。まずはこの2点に的を絞って、消費税の節税を考えてみましょう。

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筆者
税理士法人創経 代表社員 山塚 陽平
経歴
1975年(昭和50年)名古屋市生まれ
1998年(平成10年)岡田会計事務所(現税理士法人創経)入社
2002年(平成14年)税理士登録
2005年(平成17年)宅地建物取引主任者登録
2013年(平成25年)税理士法人創経 代表社員就任
経営・税務・リスクマネジメントを中心としたトータルサポートを実践。
起業や承継をテーマとしたセミナーの講師も行っている。

所属
名古屋税理士会、TKC全国会、日本税法学会、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会、中部ニュービジネス協議会

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