MisocaのiPhoneアプリリリース時のマーケティング施策

こんにちは。@huuzooです。

今回は、「Misocaの技術力のもとで培ってきたマーケティング力(第二回)」で触れた「MisocaのiPhoneアプリリリース時に行ったマーケティング施策」をご紹介していきます。斬新なことはやっていませんが、これからアプリをリリースする人(特にビジネス系のアプリ)の参考になればと思い、ご紹介していきます。

アプリリリースに向けてマーケチームのミッション


「最低限の予算&最低限のリソース」で「最大限の成果」を出すこと。


これはどこの会社でも同じだと思いますが、Misocaでは集客のメインはPCになるので、そのことを特に意識して、PCの既存施策に滞りがでないようにアプリの策定に臨みました。

施策の軸を考える

Misocaがアプリをリリースするにあたり、Misocaの最大の強みは既にWebのお客様がいることでした。そのため、マーケティングの軸を「既存のMisocaのお客様にしっかりと届ける」ことに決めました。

「既存のお客様にアプリのリリースを伝え、キャンペーン等に参加してもらい、新規のお客様に広げていく」

大まかなストーリーはそのように考えました。

目標数値と理想イメージ

目標数値を立てる

大体の目標数値を立てました。リリース後の経過日数とインストールの導線から、想定インストール数とその時のApp Storeでの想定順位を試算しました。

「リリース1日後にはプレスリリースで◯◯インストール、既存のお客様が◯◯インストール」などです。

ただ、Misocaのターゲットの対象は限定されるため、大分大まかに想定しています。広告収益や課金を目的としているサービスであれば、もっと詳細に試算が必要だと思います。

理想のイメージ

ポイントは下記の2点です。

  • 初期のインストール数の向上
    リリース初期のインストール数を出来る限り引き上げ、App Storeのランキングをあげる。
  • 継続的なインストール数の獲得
    継続的なインストール数によって、App Storeのランキングの低下を出来る限り食い止める。

グラフにすると下記のようなイメージです。

施策を組み立てる

上記のカーブを描くよう、施策を組み立てていきます。「初期インストール数向上策」「継続インストール策」「新規ユーザー向け」「既存ユーザー向け」の4カテゴリで分けて考えました。

事前登録キャンペーン

初期インストール数向上策・(主に)既存ユーザー向け

リリースの1週間程前から開始しました。事前登録してくれた方にはリリース時に連絡し、お客様のインストールの取りこぼしを出来る限り防ぐように意識しました。また、既存のお客様に喜んでもらい、参加してもらえるように、プレゼントとしてMisocaの郵送チケットを用意しました。

事前登録キャンペーンはTwitterなどで拡散してもらえ、多くの方にご参加いただけました。

プレスリリース

初期インストール数向上策・継続インストール策、新規・既存ユーザー向け

事前登録キャンペーン実施時とリリース時に送付しています。多くのメディアに取り上げられ、事前登録数の向上、リリース時のインストール数向上に大きく貢献しました。

また、リリース日から数日間、掲載や拡散されるため、インストール数減少の食い止めにも繋がっています。

ブログ記事コンテスト

継続インストール策・(主に)既存ユーザー向け

アプリを使った感想をブログに書いていただくコンテストを開催しました。それによって、ブログを書いてくれた方のまわりの方にも認知を広げ、継続的なインストール底上げを目指しました。

また、ブログを書きやすいように、スクショを「ご自由にお使いください」と提供し、少しでもブログの執筆のハードルを下げるなどの策を用意しました。

最速作成キャンペーン

初期インストール数向上策

こちらは「iPhoneアプリでは29秒で請求書を作成できます。29秒での作成に挑戦し、それより早く作成できたらTweetしてください」というキャンペーンでした。徐々にインストール数は減少するため、話題になりうるコンテンツを用意し、話題になったタイミングでインストール数を一段階アップさせるための施策として行いました。

個人的に、マーケティングの施策は、最終的な数値目標を達成するために、何個も施策を組み合わせ、中には何個も失敗する施策もあるが、成功する施策をひとつでも見出し、結果的に目標を達成する「失敗ありきの成功」という考え方なので、色んな施策をあまり失敗とは言うことはありません。

ただ、この最速作成キャンペーンは限りなく失敗に近かったです(涙)。とても静かに収束しました。

この時の反省は「当たればラッキー。当たらない可能性もある。」と思い、細部までやりきれなかったことだと思います。

必須で実施

また、下記をもれなく行いました。

  • レビューサイトへの掲載依頼
  • Misocaのサービス内(app.misoca.jp)でアプリの紹介
  • MisocaのWebサイトのトップページ、スマホページ、ブログからの導線
  • ウィークリーメールでアプリ紹介
  • AppStoreのタイトル、説明文の精査
  • 身近な人にアプリリリースの旨の連絡とレビューの依頼

結果とまとめ

以上の施策を行った結果、大きな成功とはいかないまでも、堅実な成果に結びついたと思います。「やるべきことをもれなく着実にやった」成果だと思います。
細かい部分まで、開発チーム・マーケチームが協力し、会社全体で「Misocaアプリを広めよう」とできたことが一番の秘訣だと思います。

以上が、Misocaがアプリリリース時に行ったマーケティング策になります。これからアプリをリリースされる方の参考になれば嬉しいです。

それでは次回は「Misocaの技術力のもとで培ってきたマーケティング力 ~第3回:飛躍とまとめ(◯◯が成長の秘訣~」編です。ぜひ読んでください。

また、Misocaではマーケティングメンバーを募集しています。興味のある方はこちらからご連絡ください。

Misocaの技術力のもとで培ってきたマーケティング力 (第2回:停滞と種まき)

第1回:目標の設定と策の絞込み の記事の続きを書いていきます。

まずはじめにご報告すると、前回は主に「着実にコツコツと成果を積み重ねて来たストーリー」でしたが、今回は「試行錯誤を続けてきたストーリー」になります。

そのため、前回はマーケティングの考え方に触れましたが、今回は「やってきたこと」を赤裸々に話していきますので、「こんなことやってたんだ」くらいにお読みいただければと思います。

第8章:壁にぶち当たる

前回の記事のように、半年後に設定した目標に向け、記事追加を中心に着実に成果を積み上げてきました。しかし、目標の設定月の直前、「あること」が起こります。それは、、、

検索結果の順位の下落

です。主要キーワードの2つのうち1つの順位が下落してしまいました。これはWebサービスを行っている会社であれば、誰しもが悩むものかと思います。Misocaでもその状況に直面しました。

第9章:SEOへの取り組み

このとき検索順位の下落への対策として大きく下記の2つを主に行いました。

他社ページの研究

ベンチマークしているキーワードだけでなく、同様の傾向が想定できるワードで、他社がどんなコンテンツを用意しているかを調べました。

「事前にやっておけよ」と言われるかもしれませんが、「良い順位」に位置しているときは疎かになってしまうものです。そして良い順位にいる時は、手を加えることもできません。なぜなら順位の下落がこわいからです。

SEOに詳しい方にアドバイスをもらう

そしてもうひとつ、SEOに詳しい方に意見を聞きに行きました。構造的なところから、ページ単位のことまで気になるところを指摘していただきました。

そして、上記を踏まえ、その時に着手できる改善を一通り行いました。外部にお願いするかという話もあったのですが、最終的には、「自分たちでがんばろう」ということで落ち着きました。

これは個人的な意見になるのですが、SEOは「やってきたことの結果」みたいなもので近道はないので、結局は「自分たちでがんばる」か「他社と一緒に自分たちもがんばるか」のどちらかだと思っています。

第10章:結果と反省

上記のような改善を行いましたが、検索順位の下落が響き、目標が月間登録者数5倍のところ、4.2倍での着地に終わりました。成果はあがったものの未達という悔しい思いをしました。

このときの反省は「変動を頭に入れてなかったこと」です。外的要因の多いWebマーケティングでは「5倍を目指すならば、それ以上を目指さないと達成できない。」という教訓を得ました。

第11章:新たな問題

ここでまた大きな問題がありました。それはリソース不足です。このとき、マーケの中心メンバーの1名が抜けることになりました。そしてその方が、Misocaの制作を中心に行っていました。もともと少人数でやっていた中で、これはかなりの痛手でした。

第12章:新たな目標設定

新たに翌半年の目標が設定されました。今回の目標は約2.2倍の月間登録者数にすることです。

これはかなり”チャレンジング”な目標数値でした。前半年を超える成長をする必要がありました。このチャレンジングな目標が設定され、今のままのやり方ではいけないというのが明白でした。

登録数 = 訪問者数 ☓ 登録率

の計算式の元、このときの大まかなストーリーとしては、まず、訪問者数を大幅に引きあげるべく、前半から中盤にかけてメディアを立ち上げる。そして後半にABテストを行い、登録率を引き上げる。そういうストーリーでした。かなり「メディア」に比重を置いた計画です。

第13章:挑戦

この時期にMisocaは様々な挑戦をしました。結果だけ先にお伝えするとこの半年間の間に3つのミニメディアを立ち上げました。

挑戦1.クラウドソーシングの活用

この時期にクラウドソーシングを多用するようになりました。メディアをつくるにあたり、社内だけでは厳しいため、シュフティLancersCrowdworksのサービスをフル活用しました。

クラウドソーシングを使うにあたり、重要なのがマニュアル化です。クラウドソーシングは言葉では伝えられない分、何をして欲しいのか、どうやるのかを正確に伝える必要があります。この点は、代表の豊吉がマニュアル化の鬼なので、アドバイスをもらいつつ、依頼の精度を上げていきました。

※ちなみに代表の豊吉がどのくらいマニュアル化にこだわっているかというのは下記の記事を見てもらえればわかると思います。「メガネをかける」がタスク化されるほどです。

自分をプログラムするマニュアル化のコツ
意志の力と「メガネをかける」をタスクにする意味

依頼にもよりますが、MisocaではWordpressへの投稿までをお願いしています。Wordpressへの投稿をマニュアル化するのはなかなかはじめは難しいことですが、のちに自分が楽するために非常に重要なので、クラウドソーシングを活用するのであれば、ぜひマニュアル化にこだわってみてください。

下記の記事は、記事の作成のポイントをとてもしっかりまとめていますので、ぜひ見てみてください。
アフィリエイトで記事を外注化する時に最高の結果を出す3つポイント

そしてクラウドソーシングを活用して、生まれたのが「経理の教科書」と「先輩フリーランスの経験談」です。

挑戦2.外部メンバー・インターンシップの協力

外部メンバーはSEOや分析についての知見をアドバイスしていただくとともに、実業務もしていただきました。検索順位の下落などあり、進む道が正しいのかどうか疑心暗鬼になる中でこういった意見は、非常にためになる、かつ安心できるものでした。

インターンシップについては「mitsumolist」というメディアの立ち上げをミッションとしました。「教育」というはじめのコストはかかるものの、やる気のあるメンバーとともに、このメディアは成長し、後にMisocaにとてもプラスの影響をもたらしてくれることになります。

この期間はMisocaに協力してくれるメンバーが大きく増えました。

挑戦3.メンバーの成長&協調

この期間のマーケチームメンバーはあらゆる新しい業務をこなしました。とにかく学び、学んだことを即実践に生かす。とても忙しく仕事をしていました。そうするとなぜかこんな状態になります。

「やべぇ。。けど、キライじゃない。」

そう、トランス状態に陥ります。そして、この状態がメンバーの連帯感を強めることにもなりました。

第14章:苦悩の日々

以上のような挑戦を行ってきましたが、決して順調には進みませんでした。

それどころか、またしても検索結果で主要ワード2つのうちもう1つも下落するという変動があり、獲得数は、目標策定時よりもむしろ下落していました。もっとも下落した時で、目標策定時の数値の20%ほど下落したことがありました。

そしてこの苦悩の日々は長く続きました。とてもとても長く続きました。
半年の内、3/4を過ぎてもこの状態は続きました。

第15章:目標未達の中の兆し?

最終的にこの半年間は、最後2ヶ月でABテストを回すことで、ようやく下落分を補うことができました。この半年間の間にMisocaのiOSアプリがリリースされた分も加味するとプラスにはなっていますが、目標に対しては大幅な未達です。
(アプリのリリース時の話はまた別記事で。)

しかし、目標未達となった月、ある兆しが見え始めました。あるメディアの訪問数が徐々に伸び始めていました。それはメディアのリリース後4ヶ月ほど経った時でした。

第2回まとめ

この半年間はミニメディアを3つ立ち上げました。この戦略が正しかったかどうかは分かりませんが、目標数値に近づけるには、この戦略が最善だとその時は判断しました。結果は目標未達となりました。しかし、この期間の経験が、翌半年に大きく繋がっていきます。

その模様は「第3回:飛躍とまとめ(選択と集中 ~◯◯が成長の秘訣~)」編に続きます。

また、Misocaではマーケティングメンバーを募集しています。興味のある方はこちらからご連絡ください。

最新記事