Misocaの技術力のもとで培ってきたマーケティング力(第3回:飛躍とまとめ)
こんにちは。@huuzooです。過去、2回に渡ってご紹介してきた、Misocaの1年半の軌跡。今回が最終話となります。
第1回では「目標の設定と策の絞込み」について、第2回は「停滞期と種まき」についてを書いてきました。第3回は「飛躍とまとめ」について書いていきます。
第17章:目標の再設定
さて、前回の記事では、半年間での目標が未達だったことをお話しました。今回の目標は、前回の反省を踏まえ、「簡単ではないけれど、施策がいくつか上手くいけば手に届く数値」を立てました。
具体的な数値としては約1.3倍の月間登録者数にするという目標です。この時の大まかなストーリーは「ABテストを軸とした改善」です。
登録数 = 訪問者数 ☓ 登録率
今回も、上記の計算式の元考えています。前の半年間で行ったミニメディアの立ち上げの効果で訪問者数が徐々に増えてきていました。そのため、「ページの誘導の改善」と「トップページの改善」でも登録率を引き上げ、目標を達成するというものです。
大体の注力度合いは
- ABテスト:70%
- 新規記事追加:20%
- 新規施策:10%
という配分かなと思います。
第18章:ABテストのリズムをつくる
目標数値から逆算
Misocaでは半年周期で目標を決めています。今回は、はじめの5ヶ月はABテストを重点的に回して、最後の1ヶ月は翌半年に向けた準備ということで、5ヶ月勝負で考えていました。
まず5ヶ月間で目標数値を達成するために、「月に何件ずつ増加させないといけないか」計算しました。すると、ABテストで何%の改善が何本必要かが分かります。そこにABテストで改善が成功するかどうかの確率を掛けて、月に何本ABテストを回さないといけないかを計算していきました。
例えば、月間登録者数を1,000件増加させたい場合には下記のように計算します。
- 1.1,000件/5ヶ月 = 200件ずつ月間登録者数の増加が必要
- 2.月間200件増加させるには、1日あたり、200件/30日 = 6.66件の増加が必要
- 3.ということは、1日100件獲得のあるページなら、106.66%の改善が必要
- 4.ABテストは3本に1本が改善に繋がると仮定。1改善あたりは約103.33%くらい
- 5.ということは月に2本の改善に繋がるABテストが必要なので、最低6本ABテストを回さないといけない
というように逆算して、ABテストのスケジュールを考えました。
ページごとにカテゴリ分け
ABテストをするにあたって、ページをカテゴリ分けして考えました。以下のように3つに分けました。
- カテゴリ1.訪問者数の多いページ
ex.トップページや主要記事 - カテゴリ2.訪問者数が少なく、類似記事があるページ
ex.ブログ・ミニメディア - カテゴリ3.訪問者数が少なく、類似記事がないページ
ex.サービス説明ページ(FAQページなど)
基本的な方針は訪問者数の大きページから改善を考えていきます。
訪問者数の多いページ
訪問数の多いページは1週間に1本必ず新しいABテストを回しました。ABテストの本来のやり方とは異なりますが、1週間で「効果が上がる可能性が半分なら反映しない」「半分より高いなら反映する」という方針を基本に進めていきました。
長く期間をとって測定したら、厳密には効果の下がってしまうものもあったかもしれませんが、小さな厳密性より、最終的な目標達成を考え、判断を早くし、スピード感を持って改善を図りました。
「微妙かも」と思ったABテストはすぐに停止したりなどしていました。そんなときには、キャッチコピーのテストのストック分を回して、ABテストが止まらないようにしました。
訪問者数が少なく、類似記事があるページ
訪問数の少ないページは検証に時間がかかってしまいます。類似記事がある場合は、複数本まとめてABテストを行い、トータルの成果で良し悪しをつけました。
訪問者数が少なく、類似記事がないページ
類似の記事がない場合は、できるだけ早めに着手し、回しっぱなしにしておきました。訪問数が少ないため、後回しになってしまいがちなので、はじめにまとめて対応するように意識しました。
第19章:記事の追加や既存の記事の強化、新規企画など
この期間はABテストの他にも前の半年間でやっていたことがスムーズに回るようになってきた期間です。
ひとつはインターンが主軸として行っていた「ミツモリスト」が、インターンメンバーの成長とともに、成果に結びつくようになりました。
また、クラウドソーシングサービスを通じてやり取りを始めた方と継続してコミュニケーションをとり、既存の記事への文章の追加などがとてもスムーズにできるようになりました。
そしてもうひとつ、アンバサダープログラムも開始しました。こちらは数値としては見えづらいものの、Misocaのサービスの様々な側面でとても大きな意味がありました。
第20章:結果と成長の秘訣
上記の施策を半年間地道に続けました。
「これはイケる!」と思ったABテストが改善につながらない時は、感情を押し殺してABテストを停止しました。またある時は何が何のABテストかよく分からなくなることもありました。
そうした苦悩を経た結果、最終的に目標達成率115%という数値で着地しました。悲願の目標達成です。
この数値達成には2つ秘訣があると思っています。ひとつは上記に上げたとおり「地道に着実に施策を行ってきた」こと。そしてもうひとつは「各メンバーの成長」です。
前半年間で、メンバー全員(インターン含む)の仕事の幅が大きく広がりました。企画、記事作成、デザイン、制作、クラウドソーシング、外部とのやり取りなど様々なことをしました。その過程で得たモノが、僕が思う目標を達成できた最大の秘訣だと思っています。
それは「全員が作れるようになった」ことです。
ミニメディアの立ち上げの過程でマーケメンバーはWordPressを使うことが必要不可欠となりました。全員がWordPressを使えることで、コンテンツの追加が早くなりました。また、WordPressを理解することで、コミュニケーションが円滑になりました。
WordPressというものがどんなもので、何ができて何ができないかを大体把握しているので、仕事の依頼がとても明確です。
例えば、
というような依頼が来ます。WordPressのことをよく知っているからこそ出来る明確で分かりやすい依頼です。
そしてWordPressが使えればABテストもできます。インターンメンバーもABテストを設定して自分で効果検証をするまでになりました。
そうして自分で作れるようになることで、企画、制作、効果検証、改善のフローをほぼひとりでもできるようになりました。メンバー内で分業はしているものの、主担当が多くの部分をコントロールできるため、企画から実施までがとても早くなり、結果的にそれが目標の達成に大きく貢献しました。
Misocaの技術力の元、”つくる文化”がマーケティングチームにも影響していることが、この結果に結びついた要因だと思います。
まとめ
以上、3回に渡ってご紹介してきたMisocaマーケティングチームの1年半の軌跡でした。近道することなく、地道な改善を重ね、サービスを成長させるべくメンバーも成長する。それがMisocaのマーケティングチームのやってきたことです。
Misocaでは「自己組織化されたチーム」を目指しています。これからも今の体制にこだわらず、より良いチームを目指して改善を進め、Misocaをより多くの人に知っていただけるサービスにしたいと思います。